オフィスの防災は非常食が必須!
とりあえず食べてみた!

オフィスの防災は非常食が必須!とりあえず食べてみた!

なぜオフィスに防災備蓄が必要か?

地震や水害などの自然災害はいつ起きるのか予測できず事業が継続できるか不安があります。そんな万が一の事態に備えて、オフィスに防災グッズを備えていますか?

そこで今回はオフィスに防災食がなぜ必要なのか?どの程度の物量を備蓄すればよいか?を説明し、実際に非常食を試飲した内容をお届けいたします。

目次

1 オフィスで防災備蓄をする理由

企業には、従業員や顧客の安全を第一に考える責任があります。さらに帰宅困難者への支援や、災害発生時の地域支援、地域社会の一員として災害の復旧・復興に貢献する責任があります。災害発生時の対策として、日頃から行える活動の一つとして、防災備蓄(防災グッズの備蓄)があります。

そして、災害発生後3日間は「応急対策活動」を優先するため、不用意な移動を控える必要があり、その場合「一斉帰宅抑制」を企業は従業員に向けて指示しなくてはいけません。そのために「従業員が3日間、事業所・オフィスで生活するための防災備蓄」を会社内に設置しておく必要があります。これがいわゆる基本的な「企業の防災備蓄」になります。

ここでは「なぜ3日間の一斉帰宅抑制が必要なのか?」「そのための備蓄品はどのようなものが必要か?」について説明いたします。

1-1 災害発生後3日間は
「応急対策活動期」(72時間の壁)

平成24年(2012年)に定められた「事業所における帰宅困難者対策ガイドライン」(首都直下地震帰宅困難者等対策協議会)に下記のように記されています。災害が発生したときの被救助者の生存率は4日目以降激減する(72時間の壁)ため、災害が発生してから3日間は「応急対策活動期」として、救助・救出活動が優先されます。

【参考】国土交通省 近畿地方整備局 震災復興対策連絡会議 阪神・淡路大震災の経験に学ぶ

◆72時間の壁とは?

上記のリンク先、阪神・淡路大震災の生存率のデータ(震災当日は75%、2日目24%、3日目15%、4日目5%)と、人間が水を飲まずに過ごせる限界が72時間と言われています。72時間を過ぎても救出される可能性もありますが、72時間以内なら救助できる可能性が高い傾向があることから、人命救助では72時間以内の負傷者の救助を優先しています。

東日本大震災の自衛隊の人命救助数の表を見ると、発災から72時間が経過した段階で、自衛隊が救助できた人数が大きく減少しています。
【解説】人命救助における初動(72時間以内)の重要性(2012年 防衛白書)

1-2 STOP「応急対策活動期」の一斉帰宅

災害発生後3日間は、救助・救出の妨げにならないように、企業は従業員等を一斉帰宅させないようにする努める必要があります。そのため、従業員等を施設内に待機させる必要があります。これを「3日間待機」と呼びます。

一斉帰宅を抑制する理由は、大阪府の作成した動画が理解しやすいので御覧ください。
帰ったらあかん!STOP一斉帰宅 の動画がわかりやすい(Stock-stock防災コラム)
『帰ったらあかん!〜大阪府からのお願い「STOP!!災害時の一斉帰宅」〜』(YouTube)

1-3 備蓄は3日分を用意

企業は従業員を3日間、施設内に待機させる必要があるので3日間分の人数分の備蓄をすることガイドラインや条例で努力義務として定められています。備蓄の量については、「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者等対策のガイドライン」(内閣府,2015)を引用したものを下記に記載します。

【3日分の備蓄量の目安】
(1)飲料水は、1人当たり1日3リットル、計9リットル
(2)食料は、1人当たり1日3食、計9食
(3)毛布は、1人当たり1枚
(4)その他の品目については、物資ごとに必要量を算定

帰宅困難者対策ガイドラインに準拠した商品一覧はこちら

2 BCPと防災備蓄

現在の企業は、平時からも取引先や顧客から、さまざまなニーズが寄せられ、迅速な対応が求められており、事業をとりまく環境の変化が目まぐるしく変わる社会情勢が挙げられます。
災害や大きな事故が発生しても、顧客からは平時と同様な対応を求められるため、事業を続けるためには、いくつもの課題が出てきます。さまざな課題をクリアし災害時でも平時と同じようなことのできる「企業力」を備えることが求められています。
そんな「企業力」を備えるために、どうしたら被害、損失を最小限にできるかを考え、事業継続に備えた計画を作る事を、BCP対策と言います。

2-1 BCP(事業継続計画)とは?

BCP(事業継続計画)は、中小企業庁、厚生労働省、各業界のガイドラインがあります。基本的にガイドラインに従って策定していくことで計画を進めることができます。BCPは従来の「防災計画(災害時の対応)」に「事業継続させるための計画」を加えたものと考えて問題ありません。

2-2 災害時の対応を整理しよう

各種BCPガイドラインは事業継続計画がメインの筋書きとなっているため、防災備蓄については記載が不明瞭な箇所が多いことから、ここではBCPの防災備蓄に関する解説をします。

まず災害発生時の初動対応から必要な資材や備蓄の概要をわかりやすく説明します。

災害発生後にBCPが発動された場合、企業は防災組織を立ち上げ、事前に決めた各班の役割に従ってそれぞれの担当者が行動を起こします。上記は「消防班」「安全指導班」「救護班」「応急物資班」「情報班」「事業継続班」の防災組織を立ち上げる例です。行動班を考えることが災害時の初動対応を考えることの第一歩です。

2-3 班別の行動内容と必要な資材を整理しよう

初動対応の班の役割が明確になったので、災害時に行動できるように各班の必要資材を見ていきます。

安全指導班は「メガホン」、救護班は「ヘルメット・救助工具・担架・救急セット」、応急物資班は「発電機・投光器・コード・ランタン・食料・水・毛布・トイレ」、情報班は「ラジオ・ポータブル電源」などが必要があることがわかります。

2-4 オフィスの防災備蓄は「初動対応用」と
「3日間待機用」で管理

防災組織の班の役割別に必要なものがわかりました。それでは保管方法について検討してみます。
保管に関しては災害発生後の時間軸に沿って備蓄の種類を下の図に記載しました。

災害発生後すぐに必要なのは「初動対応の資材」で、初動対応後に必要なのは「3日間待機用の備蓄」です。それぞれの保管場所は「初動対応の資材」は防災組織の本部を設置する予定の場所に置き、本部の場所を狭くしないように、異なる場所に「3日間待機用の備蓄」を置くのが効率的です。

BCPにおいて防災備蓄を検討する項目は限定的ですが、「災害時初動対応」や「3日間待機」についてのルールを制定する際に、必要資材・備蓄(防災グッズ)が何で、どのように使うかなどを検討しておくと、災害が発生したときも不安にならずに安心して行動できます。

「法人の防災備蓄の手配・調達」では、企業向けの防災食、備蓄水、ブランケット・毛布、非常用トイレなどの防災備蓄品(防災グッズ)を紹介しています。

3 防災備蓄の期限

食糧・水などの備蓄品は利用期限が定められています。その他にも、電源の場合は充電能力、消火器の場合は、粉末の有効期限があります。備蓄も有効期限がバラバラなため、有効期限が切れた食糧や水などを放置したままの状態の企業が多く見受けられます。いつも使っていないものの期限を気にするのは大変な労力でコストもかかってしまうので、注意が必要です。

3-1 一年に一度の「棚卸し」で期限をチェック

一般的に大企業などでは、自社で防災備蓄の棚卸しは行わず、弊社などの防災備蓄品の販売会社の「管理代行サービス」を利用して、「備蓄品リスト作成」から、年に一度の「棚卸し」、「次年度期限品の報告」などをアウトソーシングします。

それに対し、中小企業などでは自社の総務部門などが棚卸作業を行い、数量と有効期限のチェックを年に1度行うことが多いです。

3-2 期限の見える化

オフィスでは、様々な理由により備蓄品の管理が継続できない場合があると考えられます。そのような場合でも、備蓄品の有効期限をはっきりと書いてあることで、「有効期限が切れそうだよ」と従業員から会社に指摘することができます。

とてもアナログな方法ですが、常に「見える」ようにすることで「期限切れの防災食の備蓄」を防止する効果が期待できます。

3-3 入れ替え時の防災食の廃棄処分を減らす

期限が近づいてくると、防災備蓄の入れ替えを検討する必要があります。
期限切れ前の防災食についてどのようにしているでしょうか。少量の場合だと従業員や生徒に配布する方法も可能ですが、大量の場合は廃棄処分しているのが現状といえます。

2021年の発表では、省庁の100万食の防災食のうち毎年20万食が廃棄されているとのことです。しかし、以下に紹介するような大量の食品ロスを削減するための手段もあります。

グリーンデザイン&コンサルティング社の「サスティナブル防災システム」は、期限切れの防災食を「フードバンク」や「こども食堂」などで有効活用するための仕組みです。廃棄するためには「産廃処理費+配送料」がかかりますが、この仕組みでは「配送料」のみの負担で食品ロスを削減し「SDGs」に貢献できます。

3-4 期限の切れた防災食の対処

消費者庁や農林水産省の見解によると、期限が切れている場合でも、賞味期限は安全率を見て日付が決まっているので、下記の条件では、廃棄せずに食べるように推奨しています。

直射日光や高温多湿の環境で保管されているような「適切に保管されていない」場合は例外ですが、図の期間内であれば、食品ロスの観点から廃棄しないで食べたり飲んだりすることが望ましいです。詳しくはこちらのページをご覧ください。

4 条例・ガイドライン

企業の防災備蓄に関する条例やガイドラインは、各都道府県、市町村ごとに定められています。ここでは、代表的な3つの条例・ガイドラインをご紹介します。事業所の所在地により多少異なる場合がございますので、最終的には、事業所がある市区町村において確認をしてください。

第七条

事業者は、大規模災害の発生時において、管理する事業所その他の施設及び設備の安全性並びに周辺の状況を確認の上、従業者に対する当該施設内での待機の指示その他の必要な措置を講じることにより、従業者が一斉に帰宅することの抑制に努めなければならない。

第七条2

事業者は、前項に規定する従業者の施設内での待機を維持するために、知事が別に定めるところにより、従業者の三日分の飲料水、食糧その他災害時における必要な物資を備蓄するよう努めなければならない。(公共交通事業者等による利用者の保護)

第1章2. 企業等における施設内待機のための備蓄について

従業員等が企業等の施設内に一定期間待機するためには、必要な水、食料、毛布、簡易トイレ、衛生用品(トイレットペーパー等)、燃料(非常用発電機のための燃料)等をあらかじめ備蓄しておく必要がある。
その際、円滑な備蓄品の配布ができるよう、備蓄場所についても考慮する。

第1章2.(備蓄量の目安)

中央防災会議が定めた「首都直下地震対策大綱」において、発災後3日間程度を応急対策活動期としていること、また、発災時の被救助者の生存率は4日目以降激減することから、発災後3日間は救助・救出活動を優先させる必要がある。そのため、従業員等の一斉帰宅が救助・救出活動の妨げとならないよう、発災後3日間は企業等が従業員等を施設内に待機させる必要がある。このことから、備蓄量の目安は3日分とする。

第2章2 企業等における施設内待機

【平常時】
①企業等における施設内待機の計画策定と従業員等への周知
②企業等における施設内待機のための備蓄(参考資料2)
・備蓄品の保管場所の分散や従業員等への配布を検討する
・備蓄量の目安は3日分とするが、3日分以上の備蓄についても検討する
・外部の帰宅困難者のために、例えば、10%程度の量を余分に備蓄する
③平時からの施設の安全確保
・オフィスの家具類の転倒等の防止や、ガラス飛散の防止対策等に努める
・地震発生時の建物内の安全点検のためのチェックシート※1を作成する
※1 チェックシートは「大規模地震発生直後における施設管理者等による建物の緊急点検に係る指針」(平成27年2月内閣府(防災担当))を参考とすると良い。(参考資料3)
④従業員等への安否確認手段、従業員等と家族との安否確認手段の確保
⑤帰宅時間が集中しないような地域・施設ごとの帰宅ルールの設定
⑥年1回以上の実動訓練や図上訓練等による定期的な手順の確認と改善

【発災時】
①従業員等の施設内待機
・従業員等が安全点検のチェックシート等に基づき施設の安全を確認する
・災害関連情報等を入手し、周辺の火災状況等を確認し、従業員等を施設内又は他の安全な場所に待機させる
・来所者についても、従業員等に準じて、施設内又は他の安全な場所で待機させるようにする
②施設内に待機できない場合の対応
・建物や周辺が安全でない場合、一時滞在施設※2等へ従業員等を案内又は誘導する
※2 一時滞在施設、災害時帰宅支援ステーションの施設の概要については、参考資料4を参照

【混乱収拾時以降】
①帰宅開始の判断
・行政や関係機関からの情報等により、安全に帰宅できることを確認する
・確認後、あらかじめ定めたルール等に基づいて従業員等を帰宅させる

5 非常食は美味しいの?
実際に食べてみた!

お客様から「非常食は美味しいの?」と多くのご質問をいただきます。正直、非常食なので美味しくないと思いますが、最近は改善されていると聞いています。

そこで、今回は「非常保存食 和風ごはんセット」で試食会を実施し、味の感想をまとめてみました。

【非常保存食 和風ごはんセット】白飯

  • 普通に食べれる
  • やっぱりご飯だけでは厳しいからオカズが欲しい
  • 水が少ないと少し歯ごたえがある

【非常保存食 和風ごはんセット】赤飯

  • 付属の塩で美味しく食べれた
  • 小豆が硬いかな
  • 炊き立てには劣るけど、オニギリだと思えば普通に食べれる

【非常保存食 和風ごはんセット】わかめごはん

  • わかめの塩気が絶妙
  • 水を入れて30分後に食べたけど、やはり歯ごたえがある
  • 水をいれて3時間後に食べたけど、やわらかいご飯で良かった
    ※あくまで実験です。記載していない時間の飲食をオススメするものではありません。

【非常保存食 和風ごはんセット】きのこごはん

  • きのこが細かく、存在感が少ない
  • 不味くはないけど、味は微妙かな
  • 塩気が足りないから、お醤油を少し入れたら良いかも
    ※あくまで個人の感想です。調味料などの追加をオススメするものではありません。

【非常保存食 和風ごはんセット】全体的な感想

セットに含まれる4つのご飯に共通して、以下の内容が気になりました。

  • 水(お湯)の量で固さが変わるので、水加減が難しいかも
  • お米のセットなので、他にオカズが欲しくなる
  • セットに含まれる水でも作れるから安心
  • 当然だけど、お湯の方が温かいので美味しく感じた

非常保存食
和風ごはんセット

災害・非常時に水を入れるだけで食べられる4種の和風ごはんと飲料水のセット

防災電源1セット
+防災30点リュック1セット

これで万全!持ち出し用電源と防災用品のセットです。(防災電源セットを1セット、防災リュックセットを1人分)

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